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Deus ex machina
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2020/02/20 (Thu) 14:19
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2010/02/23 (Tue) 10:23
 今日は猫を殺した。
 その猫は虎猫で、恐らく元は何処かの家の飼い猫で、鈴の付いた紅い首輪をしていた。
 捨てられてからまともに食事にありつけていないのか、身体は痩せ細り、惨めな姿だった。
 きっと放って置いても餓死して死ぬだけ。
 猫自身、それを理解しているようで、誰かに拾われる望みなど持たず、ただただ死を求め歩いていた。
 いつもの時間、いつもの道でその猫を見つけた瞬間、僕の中に衝動が生まれた。
 猫がよろよろ歩くたびに響く鈴の音が、僕の脳内で猫の『殺してくれ』『死にたい』と言う叫びになり届いたのだ。
 だから僕はもう人に怯え逃げる事さえ出来ない猫に近寄り、抱きかかえると家に連れて帰り水を与え、餌を与えた。
 猫は嬉しそうに、辛そうに、必死に幸福を僕に伝えようとかすれた声で何度も鳴いた。
 愛しかった、なんて可愛い生き物なのだろうかと僕は思った。
 僕が猫の元から離れると、猫は久し振りの人の温もりが嬉しかったのか、ボロボロの身体で歩いて僕の足元に擦り寄ってくる。
 なんて残酷な事をしてしまったんだろうと、僕はその時思った。
 僕は今から君を殺してしまうと言うのに、何故そんなにも僕に懐くんだろう。
 悲しくて涙が溢れた。
 辛くて、辛くて、声を上げて泣いた。
 出会った瞬間に殺してやればよかった。
 こいつはあんなにも絶望していたのに、僕は希望を与えてしまった。
 僕がこの子が望む選択をする事はあり得ないというのに。
 君は死ぬ、僕に殺される。
 悪いのは君じゃない、君を僕と出会せてしまった何かが悪いんだ。
 僕は悪くない、僕は殺す者だ。
 殺す事が僕の唯一の娯楽、存在意義。
 僕は涙を拭い、机の引出しの鍵を開けて黒い箱を取り出す。
 黒い箱の中には形の異なるナイフ二本入っていて、その二本の内の黒いつや消し加工された刀身のナイフを選び取り出した。
 それに続いて机の中から有刺鉄線を取り出し、引出しを閉めた。
 
 「さあ、いくよ?」

 僕は猫にそう声をかけて浴室へと向かう。
 猫は僕の持つ凶器に気付かないのか、従順に僕の言葉に従った。
 風呂場へ付くとナイフと有刺鉄線を床に置き、僕は猫を抱き上げ、後足を掴んでへし折った。
 猫は痛みに悲鳴を上げようとするが僕はすかさず水を張った浴槽の中に静めた。
 動物の声でも、悲鳴なんかが聞こえたら声を聞かれた人に不信感を抱かれてしまうから、気をつけなくてはならない。
 猫は前足だけで必死にもがいて酸素を求めるけど、弱ったうえに後足を折られた状態では上手くいがず、浮き上がる事が出来ない。
 その様を眺めているととても満たされた気持ちになれたので、このまま溺死させるのもいいかもしれないと思った。
 僕が初めて生き物を殺した時、あの時は犬を溺死させて酷く快感だったのを覚えている。
 その犬というのは紗希が親に買え与えてもらった犬で、キラと言う名前だった。
 僕の本当の両親は幼稚園児の頃に離婚し、僕が小学二年生の頃に父は再婚して、その再婚相手の連れ子が紗希だった。
 紗希とは全くの他人同士ではあったけど、幼い頃に親が離婚していると言う同じ境遇からかすぐに打ち解けた。
 けれど、あの頃の僕にとって、紗希はとても妬ましい存在で、唯一の肉親からの愛情を奪い、笑顔でいる紗希の事が憎くて仕方なかった。
 そして、新たな家族との距離を詰めようと努力している父の姿が、とても悲しかった。
 紗希が小学校に入学した年の誕生日、父は紗希に犬を買い与えた。
 種類まではわからないが、ふさふさした毛並みの犬だったと記憶している。
 その時僕の中で何かが切れた。
 無関心や疎外感に耐えつづける事がついに出来なくなったのだ。
 『僕にはプレゼントなんて贈ってくれたことはないのに――』
 だから僕はその年のある日、僕はその犬の殺害を計画した。
 朝はいつも通りへ学校へ、紗希と仲良く手を繋ぎながら一緒に登校した。
 これから紗希を傷つけてしまう事に罪悪感を感じながらも、いつも通りのよい兄を演じて歩いた。
 僕は計画実行のために、二時間目の授業を受けた頃に体調が悪いと仮病を使って早退して帰宅。
 家に着くと外で繋がれている錆びた鎖を切って、餌を与える振りをして家の中につれていき、
 近づいてきた所を捕まえるとガムテープで口を塞ぎ、針金で身体を縛って重りを括り付けた。
 僕はよたよたとキラを浴室へ抱えていき、そのまま浴槽の中へ落とした。
 水を張った浴槽に重りをつけられて沈み、もがき苦しみながら酸素を求める犬の姿。
 酷く快感だった、自分の憎むものがこれによってどれだけ悲しむのか、それを思うと思わず声を上げたくなるほどだった。
 そして犬が死ぬと、僕は急いで死体を浴槽から取り出しゴミ袋に入れ、人目を気にしながらゴミ捨て場に持っていった。
 家に帰ると今度は浴槽に浮かんだ犬の毛を全て取り除いて水を抜いて綺麗に掃除をした。
 決して自分が殺したと気づかれないように、証拠が残らないように丁寧に、丁寧に後始末をした。
 だからこの猫を見ているとそれを思い出すのか、気持ちが高揚する。
 まるで紗希の事を痛めつけているようで、とても、とても、心が満たされる。
 紗希に僕にとってかけがえのない、大切な存在だ。
 幼少の僕から愛情を奪うと言う大罪を冒したけれど、それはもう僕が判決を下し、許した。
 僕は紗希を愛している、家族としてではなく、一人の女性として。
 存在するだけで僕にこんな快楽を与えてくれる紗希の事を、愛さずに入られない。
 紗希がいたから今の僕が此処にいる。
 紗希無しでは今の僕はありえなかったのだ。
 そしてこんな快楽を覚える事もなかったのだ。
 紗希はなんて偉大なのだろうか、なんて愛しいのだろうか、いっそ殺して――。
 僕は今何を考えた? 紗希を殺し――。
 やめよう、今はこの猫を殺す事だけに専念しよう。
 無駄な事を考えていては折角の楽しみも薄れてしまうと言うものだ。

 「溺死も悪くないけど、このまま殺しては道具を用意した意味がないな」

 物思いに耽っている間に死にかけている猫を、僕はその肺が水で満たされてしまわぬ間に掴み出して床へ落とした。
 猫はもう悲鳴を上げる気力などなく、無様に咽ながら苦しんでいる。
 もう時間がない、早くしないと猫が死んでしまう。
 僕はまず、先ほど用意した有刺鉄線を手にすると猫の身体をそれできつく縛り付け、左手で吊り上げた。
 すると針は猫の身体を突き刺し、水で濡れた毛に血が滲み流れ始めた。
 
 「ははっ……」

 血を見て僕は思わず笑みをこぼす。
 血は生き物にとって、生命の象徴だから。
 血が流れている、それは生き物だと言う事。
 僕は猫を吊り上げている左手を更に血を求め、腕に力を込めた。
 ゆっくりと上昇させ、素早く下降。
 猫は自らの体重により、その皮膚を切り裂いていく。
 その上下の度にまるで自慰行為でも行っているかのような射精感がこみ上げる。
 気持ちよ過ぎて今にも欲望を吐き出してしまいそうだ。
 猫の喉から微かに喘ぐような声が聞こえた気がするがそんな事はどうでもいい。
 今この瞬間は何もかも忘れ、ただ快楽に溺れられればそれでいい。

 「さて、そろそろ終わりにするか」
 
 暫くの間、悦に浸った後に僕は一人呟く。
 猫はこの時点でほぼ死んでいるようだった。
 有刺鉄線を解いて床に置いてやると微かに動きを見せたが、これはただの痙攣かもしれない。
 僕は先ほど有刺鉄線と共に持ってきたナイフを手にすると、まず心臓を突き刺した。
 これで間違いなくこの猫は死んでいる、僕に殺害されている。
 だが猫が死んだからといってそれで終わらせはしない。
 心臓に刺したナイフはそのまま下へ動かし胸を切り開く。
 途中あばらが何本か引っかかったが気にせずに強引に引き裂く。
 けれど内臓は傷つけないように、極力気をつけて丁寧に皮膚を切ってゆく。
 すると其処には紅く光る臓物達が鎮座していた。
 僕はそれらを一つ一つ丁寧に切断し床に並べ愛でてゆく。
 なんて愉快、なんて美しい、なんて気持ちいい。
 こんな小さな肉袋の中から、こんなに多くの紅い宝石達があふれ出てくる。
 僕は解体を一通り終え、床の上に並べられたそれらを愛で終えると再び肉袋に戻し、再びその身体――肉塊を有刺鉄線で縛った。
 
 「……さて、後片付けが面倒だ」

 辺りに視線を巡らせると壁、床、浴槽、扉、あらゆる所に血が飛散して付着している。
 やはり家で殺すと後始末が大変で仕方ない、やはり浴室で生き物を解体するのは良くないらしい。
 次からは出来るだけ血液の飛散しない方法で殺害する事にしよう。

 「紗希、今日もよかったよ」

 僕は愛する紗希の事を思い浮かべながら、後始末を開始した。
 僕は後何匹の動物を殺すのだろう?
 犬、猫、鳥、それらはもう殺しすぎる程に殺してきた。
 いつかはきっとその殺害の対象は人間へと向かってしまうのだろうか?
 その時、僕は紗希を殺さずにいられるだろうか?
 先ほど脳裏を掠めた悪い衝動。
 愛するものを殺すなどどうしたら出来ようか?
 紗希を殺すくらいなら、僕は自身の死を選ぶ。
 紗希に触れられなくなってしまう事はとても名残惜しいけど、きっと紗希のためなら死ぬ事が出来る。
 僕は紗希にとって、良い兄でなければならない。
 血が繋がらなくとも、僕等は兄弟なんだ。
 だから僕は思いを伝えてはならない。
 思いを伝えてしまったら我慢できなくなってしまうから。
 きっと、紗希を"最悪"に傷つけてしまうから。
 だから僕は、紗希の事を思いながら何かを殺し続ける。
 今日も、明日も、明後日も。
 きっと、何かを殺し続けるんだ。
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